福岡市美術館の『ゴッホ展 響きあう魂 -ヘレーネとフィンセント-』に行ってきました

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凄く今更になってしまいしたが……
1月にゴッホ展に行ってきました。

『ゴッホ展 響きあう魂 -ヘレーネとフィンセント』は、2021年12月23日〜今年の2月13日まで、福岡市美術館で開催されていた展示会です。

東京からはじまった同展は、福岡を巡り、4月に名古屋で終わりを迎えようとしています。

『黄色い家』や『夜のプロヴァンスの田舎道』(イトスギ)が展示されるとかなり色々なところで宣伝されていたので、何かしらの形で展示会の案内を目にした方も多いのではないでしょうか。

今回の目玉となった『黄色い家(通り)』や『夜のプロヴァンスの田舎道』は、ゴッホの代表作の1つとしても知られている作品です。

ゴッホと言えばひまわりのイメージが強いですが、上記2作も大変有名なので、どこかで一度は見かけた方も多いはず。

これほど大規模な展示は福岡ではなかなか見られないため、開催が決まった際からとても楽しみにしていました。(いつも行きたい展示は大体大阪どまりなので、がっかりしていたのです…)

実際に会場に足を運ぶと、このチャンスを逃すまいと、実際会場には驚くほどの人が集まっていました。

さすが世界的人気画家。普段こんなに展示会場が混んでいることは、見たことがありません!それだけ、彼の作品をひと目みたいと思う人が多いのですよね。

展示内容と感想

さて、肝心な展示の内容について。
今回の展示は「ヘレーネとフィンセント」と名前がついている通り、ゴッホのコレクターであるヘレーネ・クレラー=ミュラーが収集した作品が飾られています。

彼女の膨大なコレクションのお陰で、展示室内にはオランダ時代の素描画から晩年期の作品まで充実した作品が並んでいました。

いわゆる「ゴッホらしい」と言われる作品はもちろん、「一般的なゴッホイメージとは異なっているな」と感じられるような彩度の低い作品まで、時代ごとに数多くの作品が展示されています。

美術館や博物館に行くと、「これらの数多くの作品を現代まで受け継いでくれいていた人がいたのだな」とひしひしと感じることがあります。今回の展示会も、そのような感想を抱いた鑑賞となりました。

ゴッホは好きな画家の一人ではありますが、どこかで一種の恐怖を感じていた面もありました。
また何がそこまで人を惹きつけるのだろうとも感じていたので、今回の展示会でその答え合わせができればとも思っていました。

実際に会場を訪れてみて得た答えは、「生と動を感じられること」ではないかなと。

私は完全無欠な作品ではなく、表面に作品が生み出された際の跡が見られるような「作品の生」を感じられる絵が好きです。

美しく整えられた絵も素晴らしいとは思うのですが、絵の具が飛び散っていたり、表面が波打っていたり、背景に違う色の点がポトリと落ちていたり。
そんなところを見ると、とたんにその作品の背景を考えるようになります。

何を思ってこの作品を完成させたのか。このモチーフに対してどう思ったのか。そんなことを感じずには、いられなくなるときがあるのです。もちろん、その答えは本人にしかわからないのですが。

そんなことを考える余裕などないくらい会場は混んでいるものの、彼の絵を見ていると、まるで作品そのものが生きているかのように感じるときがありました。

複雑に絡まり合う木の根。現実ではありえない程鮮やかに塗られた木々や植物たち。そして、人々が行き交ったであろう道。風に流されて動き出しそうな雲。そよそよと音をたてる木々。

「狂気の画家」と評されることも多いゴッホ。もちろんその極限の精神状態から生まれた作品もあるでしょう。
しかしより繊細で、自然や生活の中に美しさを見出した人だからこそ、生まれた作品なのではとも感じています。

初期のデッサンは、正直にもうまいとは言えないものも多いと感じています。
けれども、どの絵にもその時代に生きた人の人生があり、思いが伝わってくるようにも感じます。

ゴッホの作品は、日々命を削って生き、その生きる力をキャンバスに塗りつけているような、そんな絵でもあると思いました。

ゴッホとの出会い

思えばゴッホの絵に興味を持ったのは、彼が日本趣味(ジャポニズム)に位置する作品を発表していたと、知ったときだったように思います。

異国の中で日本がどのように受け入れられていたのか、その点に最も興味を持ち追いかけ続けていた私にとっては、世界的に有名な画家までもその影響を受けていたことに、大きな衝撃を受けました。

残念ながら絵画における日本趣味の広まりについてそれほど詳しく追求することはなかったため、彼の生い立ちについてそこまで興味を持つことはありませんでした。

しかしとある本との出会いが、私に大きな影響を与えることになります。

たゆたえども沈まず」。人気アート小説家の原田マハ氏が書いた小説です。とある日本人を中心として、ゴッホの生涯と彼を取り巻く環境が描かれています。

この本を手に取ったのは、ほんの小さなきっかけでした。
原田氏の小説を知人に進められたのと、パリ万博のことが書かれていると知って、読まずにはいられない気持ちになったことを覚えています。

そこから彼の生涯に興味が増し、色々とゴッホの一生に関する本や映画などを見ました。

彼に関する作品は本当に多種多様で尽きませんね。まだ見切れていないものもたくさんあるので、次は弟テオとのやり取りに関する手紙の本を読んでみたいなと感じています。

ゴッホのおすすめ作品

ということで、ちょっと余談ですが私が見た中でおすすめのものを紹介します。展示会で興味を持った方、彼の生き方や作品をもっと知りたいと思ったらぜひ読んでみて欲しいと思っています。

まずは先程も話した「たゆたえども沈まず」。同作者のゴッホに関する本で「リボルバー」という小説もあるのですが、こちらはどちらかと言えばゴッホとゴーギャンの関係性に焦点を当てた本になります。

なので、ゴッホの生涯と言えばいいですかね。彼がどんな人生を歩んでいたのか知りたいなら、「たゆたえども沈まず」の方がおすすめです。

もちろん小説なので全てが真実ではありませんが、興味を持つにはいいかと。

それと有名な絵や生涯などの基本的な部分をザーッと理解したい場合は、こちらの公式のムック本がおすすめです。

読み応えたっぷりなので、行けなかった方もぜひ。今回は展示されていなかった作品についても記載があるため、より理解が深まります。

そうそう手紙といえば「ゴッホ 真実の手紙」もよかったです。こちらは映画ですが。生涯について知りたい場合は、小説より映画の方が見やすいかもしれません。(Amazonプライム会員なら無料で見れます)

もっと人が少なかったらずっと見ていたかったのになと思うのですが、人気展示ですものね。仕方がない。

そういえば、グッズめっちゃ買ってしまいました。こうして増えていくクリアファイル…… いいんですよ。仕事で使うからね。しばらくは飾っておきたいと思います。